「世界記憶遺産」の英語には「遺産」がつかない

[英語の現場からレポート]
2015年12月号の記事より引用

10月に「東寺百合文書」と「舞鶴への生還」が世界記憶遺産に登録されました。また、中国が「南京大虐殺の記録」も登録され、物議が起こりました。Hiragana Times December issueではこのことについて、掲載しています。

世界記憶遺産は、日本語では世界遺産と同じような響きがありますが、実は、英語には「遺産」(heritage)の文字が入っていません。英語ではthe Memory of the Worldです。世界遺産と同様にUNESCOが登録することから、日本では遺産をつけて権威づけをしたようです。The Memory of the World は、世界的にはあまり知られていないようです。

このように、日本での表現が適格でないと思われる言葉は他にもあります。8月15日の「終戦記念日」(the anniversary of the end of the war) は、日本独自の表現です。日本は戦争に負けたわけですから、本来ならば、「敗戦記念日」と言うべきです。韓国ではこの日は「光復節」(日本の植民地支配から解放された日)として祝います。戦勝国は対日戦勝記念日となり、VJ Day (Victory over Japan Day) と呼ばれています。VJ Dayは、日本がポツダム宣言を受諾し、天皇が停戦を発表した8月15日ではなく、降伏文章に調印した9月2日(中国は9月3日)です。

戦後70年を迎えた日本は平和国家となり、政府はいま、まんがやアニメ、かわいいファション、和食などを「Cool Japan」として世界に発信しています。しかし「クールジャパン」という言葉は、日本人には深く浸透していますが、外国人でこの言葉を知っている人はあまりいないようです。

英語と日本語の間には文化背景やそれを伝える側の思惑があります。英語は単なるcommunication toolです。日本を紹介する場合には、それらの知識も大切です。


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